宮崎大学
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令和6年度宮崎大学入学式告辞(令和6年4月3日)

告辞

 新入生の諸君、入学おめでとう。
今年は1,383名の新入生を迎えることができました。宮崎大学を代表して、心から歓迎します。また、ご家族はじめ関係者の皆様にも、心からお祝い申し上げます。

まず最初に、宮崎大学を紹介します。
本学の歴史は古く、明治17年に設立された師範学校にまで遡ります。現在の教育学部の前身で、今年、140周年を迎えます。その後、大正13年には宮崎高等農林学校が設立され、後に農学部となり、今年で100周年です。また昭和19年には宮崎高等工業学校が設立され、現在の工学部に引き継がれています。工学部も今年80周年です。昭和49年設立の宮崎医科大学が現在の医学部で、医学部も50周年という節目を迎えます。平成28年には地域資源創成学部が加わり、現在の5学部、7研究科を擁する総合大学となりました。
このように宮崎大学はその前身から数えると140年に及ぶ歴史を持ち、宮崎に根を張り、枝を広げ、宮崎と共に発展してきた大学です。
われわれのスローガンは「世界を視野に、地域から始めよう」です。このスローガンのもとに、地域との連携を強固にして、教育、研究、地域貢献、国際貢献を展開しています。そして、その成果を世界に向けて発信する大学でありたいと考え、学生と教職員が一丸となって日々努力を重ねているところです。皆さんは、本日、本学の歴史の1ページに加わりました。
宮崎大学にはメインキャンパスとして木花キャンパスと清武キャンパスがあり、また新たに宮崎市内中心部に錦本町コミュニティキャンパスを整備中です。さらに県内各地に広がる実習フィールドがあります。キャンパス内では多様で、素晴らしい教授陣に出会うことができます。出会いを求めて、自から積極的に活動し、色々なことにチャレンジして下さい。そして生涯の財産となる知識や技術を身に付けるよう努力してください。
チャレンジする過程で、勿論、失敗もあります。それもまた重要な学びの過程ですので、失敗しつつ、いろいろな学びに挑戦してください。

それでは、大学での学びとは、何でしょう。
大学は本来、真理を探究するところです。まず先人が築いてきた本物の学問を十分に味わい、その素晴らしさと奥深さに感激して欲しい、そしてその先にある真理の一端を、今度は自分の専門分野として探究して欲しい、と願います。これはウェブやスマホで簡単に得られるものとは全く次元の異なるものです。学問の長い歴史と伝統に裏打ちされた、本物のサイエンスの美しさと楽しさは格別です。大学でこそ手に入れることができるものです。是非、情熱を持って取り組んでください。
学問は、先人達が積み重ねてきた努力の上に築き上げられています。大学教授は、その大きな学問体系の流れの中から、特に重要な基本的な知識と、最先端である研究のフロントラインを示してくれます。自分達が今、どこに立っているのか、どこに向かおうとしているのか、その中から掴み取って下さい。この学問の伝統の中に自分の足跡を残すことは貴重なことであり、実行する価値のあるものです。学生時代に是非、経験して欲しいと願います。

専門的な真理を探究し、幸にしてその一片を見つけた時に、次に必要なことは、これまでに蓄積してきた総合知と結びつけることです。
リベラルアーツ、ジェネラルエデュケーション、教養教育、様々な用語が用いられていますが、自分の専門分野が先端領域に行けば行くほど、根幹となる総合知と結びつけることが必須になります。専門知が一人歩きしないよう、あるいは努力して得た専門知が本来の正しい行き場を見失わないよう、総合知と結び付けておくべきです。このように、専門知と総合知の関連性、両者のバランスは極めて重要な視点で、常に、専門知をおくべき位置が正しいか、自問自答する過程が重要です。大学の学びの場面場面で、この両者のバランスを熟考してください。

さらに、新たな知識を社会へ正しく発信することも大切です。世の中に役立てる科学を創造する、イノベーションと結び付けて社会的インパクトを生み出す、という視点も必要です。自分の行っている真理の探究がどれほどの社会的インパクトを与えるのか、学問に没頭している時には見えないことがあります。多くの視座から評価してもらうためには、関連する学術団体での発表も有効ですし、また一見、全く関連性のない人からの評価も有用です。いずれにせよ、その成果を広く社会に発信し、世界が利益を得られるよう努力すべきです。
この時に、宮崎大学のスローガンである、「世界を視野に、地域から始めよう」が活きてきます。真理の探究と世界への発信、社会的貢献は地域からという、非常に味わい深いスローガンですし、大学の基本理念でもありますので、是非、早い時期に覚えて下さい。

大学での学問でもう一つ重要なことを指摘したいと思います。
さて、学生諸君が実施する活きた学問はどこから来るのでしょうか。間違いなく、人とのつながりの中からもたらされます。授業の一コマ、教授が推薦した論文や教科書の中、仲間とのディスカッション、ふとした友人の一言、、、いずれにせよ、人とのコミュニケーションの中にヒントが眠っています。しかも大学の内には多様な人間で溢れています。自分から積極的に繋がりを求め、自分の狭い専門性を超えて、多様な人間とのコミュニティを作ってください。人生の得難い財産となります。そのためにも、常に自分なりの考えを持ち、柔軟に意見交換できるコミュニケーション能力を身につけたいものです。自分のアンテナに引っかかるヒントや閃きをどのように発展させるか、諸君の独創性次第で、素晴らしい真理探究の旅となることでしょう。
一方で、誰もが人とのつながりの中のみから十分な幸運に巡り会える、とは限りません。そこで重要になるのは、先輩や同僚が薦めてくれる文献です。同様の問題に取り組んでいる仲間、同様の学問的疑問に悩んでいる同僚は、日本中に、さらには世界中にいます。彼らこそ、問題解決の仲間なのです。さらに言うならば、歴史的な人物の言動からインスピレーションを得ることもあります。これらの書籍も友人と思って下さい。

さて本日、大学で学びの3つの要点について話しました。すなわち、真理の探究が主であること、その上で総合知に結びつけること、そして、その成果を社会に発信すること、の3点です。これらを達成するためは、学問の自由を確保することが重要であり、さらに言うならば、平和であることが必須です。平和であることに感謝しつつ、平和を守る努力をそれぞれの立場で続けて下さい。大学で真理を探究する諸君が心して取り組まなければならない活動です。

最後に、宮崎大学はいかなる社会情勢の下にあっても教育、研究、地域貢献、国際貢献を続けていかなければなりません。地域に根ざした大学としての機能を保ちながら、世界を視野に、新しい時代に向けた大学の行動を模索しています。
新入生諸君が、宮崎大学が掲げるこのビジョンを共有して、宮崎大学の新たな歴史のページを開いてくれることを期待します。
諸君の大学生活が有意義で素晴らしいものになることを確信し、私の告辞とします。

令和6年4月3日
宮崎大学長 鮫島 浩

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