宮崎大学
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2019年年頭の挨拶(平成30年1月7日)

2019年年頭の挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。

平成最後のお正月となりましたが、それぞれによいお年をお迎えのことと存じます。今年の4月には新しい年号が発表されることになっており、少しでも希望に満ちた新しい時代が始まることを祈りたいと思います。

昨年の「今年の漢字」に選ばれたのは「災」という文字でした。自然災害が多発し、宮崎県でも台風24号による甚大な被害が発生しました。災害研究をテーマにして、今後大学が果たすべき役割の重大性を再認識した年でもありました。

自然の大災害のみならず、国内国外の社会秩序の乱れが危ぶまれ、政治的摩擦や様々な不祥事にも不安をかきたてられた昨年でもありました。

しかしながら、元旦に行われたニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝競走大会)では延岡市の旭化成チームが、アンカー勝負での劇的な逆転優勝で、見事な3連覇を成し遂げ、宮崎県としては幸先のいい出だしとなりました。大きな勇気と元気をもらった県民の方も多かったに違いありません。

宮崎大学は、「世界を視野に 地域から始めよう」のスローガンのもと、地域と連携し、地域に貢献する様々な取組を展開しています。

2017年10月に木花キャンパスの330記念交流会館前に完成した米良電機産業株式会社による寄附講座が入る地域デザイン棟では、「宮崎TOPセミナー」と称する公開講座を開催して、県内各地の市町村長の皆さん方に、地元の魅力やビジョンを順番に講演してもらう機会を設けていますが、毎回多くの参加者を得ています。

さらには多種多様な全国レベルの著名人の話が聴ける「宮大夕学講座」も開催しています。この講座は慶應義塾大学と結んだライブ中継で開催するものです。

これらはいずれも公開講座となっており、本学の教職員や学生のみならず、地域の住民や企業人の皆様も一緒に学べる機会となっています。また、この地域デザイン棟は24時間、365日使用できる本学唯一の場として木花、清武両キャンパスの学生諸君に活用してもらう施設としても運用しています。

このような活動を基本にして、地域デザイン棟全体としては、これまでに延べ人数として、年間1万を超える学内外の皆さんに利用されており、目に見える成果として地域貢献の一端を担ってもらっています。

これらの地域貢献の取組は、文部科学省による平成29年度国立大学法人評価委員会の審査で、大学の業務運営の改善および効率化が「特筆すべき進捗状況にある」という高い評価結果を獲得することができました。業務運営の項目において「特筆すべき」との高い評価を受けたのは全国86の国立大学法人の中で、本学を含む2校のみであり、非常に名誉なことであります。設立当初から運営に当たっていただいています産学・地域連携センターの國武副学長、三上特別教授をはじめ関係部署の皆様に心から敬意を表する次第です。

その他にも地域社会に根差した活動を積極的に進めていただいている部署も次第に増加しており、地域の中核高等教育機関としての宮崎大学の役割を今後もしっかり果たして参りたいと思います。

一方、国際連携事業も着実に成果が広がっています。特にミャンマー国政府の教育省との学術交流協定の締結には、国際連携センターの伊丹副学長をはじめセンター関連の皆様のエネルギッシュな活動に感謝するとともに、両国の架け橋として長年ご貢献いただいている工学部の横田学部長、Thi Thi Zin 教授並びにPyke Tin客員教授に、改めて御礼を申し上げます。

また、世界各国との国際共著論文数も、最近ではさらに増加しており、本学の国際連携活動の活発化による成果だと思われます。今年もさらに多くの研究論文がパブリッシュされることを期待いたします。

さて、大学としての役割の、もう一つの側面として、地域貢献をスローガンにかかげて活動する中から得られる、研究や教育の成果を全日本、全世界に向けて発信することが求められます。大学に交付される年間予算の基盤をなす運営費交付金が年々減少する中で、それぞれの研究者が外部からの研究費を競争的に獲得し、自ら戦い抜いていくことが、益々重要となっています。

昨年の12月に開催しました、宮崎大学名誉教授懇談会で研究担当の水光理事から報告がありましたが、平成29年度の本学の研究者による、文部科学省の科学研究費や厚生労働省関係の日本医療研究開発機構などの外部研究資金獲得額は過去最多となり、18億3千万円に達しました。また研究論文の発表数も大幅な伸びを見せています。このことは本学の研究者の皆様の積極的なチャレンジの結果であり、改めて敬意を表したいと思います。合わせて、本学の特徴の一つである融合型大学院研究科の活動による発表論文数も順調な伸びをみせており、その成果を表れています。

また、学生によるビジネスプランコンテストのレベルが益々上昇しており、初年度の応募グループ学生の文部科学大臣賞受賞以来、学外組織からの評価も高く、多くの共催支援をいただくことができました。開催2年目にして宮崎銀行と共催する本学の大きなプロジェクトへと発展しています。

また、学生のスポーツ活動も盛んになっており、カヌースプリント・アジアパシフィック大会における教育学部の谷口夢結さんのカヌー競技でのメダル獲得も本学の明るい話題として、記憶に残りました。

宮崎大学で長年研究が続けられてきました、焼酎に関する研究プロジェクトを発展させた「宮崎大学本格焼酎:薫陶」が完成しました。本学農場で栽培されたさつまいも「黄金千貫」を田野町の渡邊酒造さんにお願いして醸造していただき、器のデザインは地域資源創成学部の宮木准教授にお願いしました。アルコール濃度37%で、他にはめったにない素晴しい味に仕上がり、現在は多くの方に愛用していただいています。

また、宮木先生によるパッケージの素晴しさは、完成当時から、その美しさがささやかれていましたが、本品は日本パッケージングコンテストにおいてジャパンスター賞を獲得し、さらにアジアスター賞、ワールドスター賞を獲得するなど目覚ましい躍進をみせてくれました。本学のスローガンである「世界を視野に 地域から始めよう」を実践する活躍となりました。宮木先生は今年の5月にプラハで行われる表彰式に出席の予定です。「宮崎大学本格焼酎:薫陶」は非売品のため、現在では宮大基金にご協力いただきました方に返礼品としてお送りしています。教職員の皆様の宮大基金へのご協力をお願いいたします。

また、教育学部の野添准教授の理科教育に関する研究の成果は、東アジア科学教育国際学会で優秀論文賞を獲得して、本学における教育学研究の成果を示していただきましたことにも、御礼申し上げたいと思います。

本学が指定管理者となっている宮崎市立田野病院と介護老人保健施設さざんか苑では、総合診療医の実践的教育が組まれて、医学部生に対する教育プログラムが展開されています。その中には在宅医療に関する教育も含まれており、着実に成果が挙がっています。さらに卒後の初期臨床研修医や・総合診療専門医に対する一貫性のある教育も、田野病院を中心に進んでおり、文部科学省医学教育課での評価も高く、注目を集めているところです。本県の地域医療における総合診療体制の充実に向けて、数多くの総合診療医が育成されることが望まれるところです。

さて、今年も大学運営の状況は益々厳しくなることは間違いありません。財務環境や大学改革は待ったなしの現状となっています。社会の大学を見る目も年々変化しながら厳しくなっています。

私たち宮崎大学は宮崎県民の役に立ち、県民の支えとなるべき役割をしっかり果たしながら、活動を続けて行かなければなりません。県民の皆様から宮崎大学の存在は極めて重要であり、県民にとってなくてはならないものであると言っていただける存在にしていかなければなりません。そのためには、県内で活躍中の様々な組織との連携をより深くし、目に見える確実な成果を上げることが求められます。夢と希望を掲げて、明るく前に進む大学でありたいと願っています。

昨年の新年のご挨拶でも申し上げましたが、地元企業の大先達である岩切章太郎翁の名言「心配するな、工夫せよ」を胸に、今年もこの難局を乗り切って行きたいと思います。本年も皆様のご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

平成31年1月7日
宮崎大学長 池ノ上 克

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