宮崎大学
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令和2年度卒業証書・学位記・修了証書授与式告辞(令和3年3月23日)

告辞

今年度の宮崎大学の卒業式、修了式は、対象者を各学部・研究科の卒業生、修了生代表者のみに限定した宮崎大学創立330記念交流会館での式典のオンライン配信、並びに学科単位での証書授与となりました。同一空間に大勢が長時間滞在することによる新型コロナウイルス感染拡大へのリスクを考慮した結果です。

卒業生・修了生の皆さんや、ご家族はじめ関係者の皆様全員にお慶びの言葉を直接お伝えできないのが残念ですが、私からの贈る言葉をお届けしたいと思います。

本日ここに巣立ちの日を迎える卒業生の皆さんに、心から祝福の言葉を贈ります。おめでとう。またこの日を待ち望んでおられたご家族の皆様はじめ関係の皆様も、さぞかしお喜びのことと拝察いたします。おめでとうございます。

今回は学士課程では教育学部および教育文化学部で計116名、医学部医学科および看護学科計173名、工学部353名、農学部279名、地域資源創成学部93名に卒業証書・学位記を授与することができました。地域資源創成学部では今年2回目の卒業生が飛び立つこととなりました。

また、大学院修士課程では教育学研究科30名、看護学研究科7名、工学研究科125名、農学研究科54名、医学獣医学総合研究科10名に学位記を授与することができました。

大学院博士課程では医学獣医学総合研究科博士課程22名、農学工学総合研究科博士後期課程11名にそれぞれ学位記を授与することができました。さらに、畜産別科でも2名の修了生に修了証書が渡されました。

以上総計1,275名が卒業・修了を迎えられました。

この中には各国からの留学生の皆さんも含まれています。学士課程15名、大学院修士課程10名、大学院博士課程10名、合わせて35名の皆さんです。

言葉や習慣の違いを克服し、様々な困難を乗り越えて、目的を達成した皆さんの努力に心から敬意を表します。

皆さんが学んだ宮崎は歴史と自然に恵まれたところです。現存する我が国最古の書物といわれる古事記では宮崎は天孫降臨の地とされ、また近代文化に大きな影響を与えた偉人たちを数多く輩出している所でもあります。

米沢藩の名君上杉鷹山公の名は広く知られていますが、その八歳年上の兄の高鍋藩主種茂公の名はあまり世に知られてないようです。

宮崎日日新聞社の和田雅実氏の著書で鉱脈社発行の「無私の精神の系譜 志に生きた高鍋人」では種茂公と鷹山公に関する資料が数多く示されています。

鷹山は南九州の小藩である高鍋藩から米沢の名家である上杉家に入り、経済的に困窮していた名門の上杉家を一代で借金なしの状態にまでした徳のある理想の政治家として知られています。アメリカの元大統領ケネディは日本人記者に「日本の政治家で最も尊敬する人物は誰か」と問われ、即座に上杉鷹山公だと答えています。また、フランスの首相をつとめたクレマンソーも「できれば鷹山と話してみたい」と述べたと言われています。

種茂と鷹山は江戸麻布の高鍋藩邸で学問に打ち込み育ちます。やがて兄の種茂は宮崎高鍋の藩主となり、弟鷹山は縁あって米沢藩上杉家の藩主として迎えられます。

鷹山は生涯兄を尊敬していました。「兄の才識にはとうてい余の及ぶところではない。幸い自分が世に知られるにいたったのは、上杉の家名と大藩であるにとどまるのは恥ずかしい」と述べたそうです。

高鍋藩第七代の藩主についた種茂は、数々の善政の結果、南九州に位置する小藩でありながら、江戸の学者から「富裕な藩は一に芸州二に高鍋」といわれるほど全国的にも知れわたる豊かな藩にします。老人には年金を、新生児が生まれると養育手当を支給するなど、世界的にみても先駆的な福祉政策が実行されていました。また飢饉に備えて籾蔵を創って蓄え、餓死者を防ぐなど多くの施策を展開しています。

その中でも特に際立っているのは藩校「明倫堂」の創設であろうと思います。明倫堂は国づくり、人づくりの根幹は学問であり、教育であるとの信念のもと創設されました。宮崎高鍋の明倫堂で学問と精神を培った数多くの若者たちが幕末から明治維新そして昭和にかけて大活躍する様は和田氏の著述のなかに生き生きと表されています。大審院長三好退蔵、孤児の父石井十次、オーストリア大使で読売新聞社社長秋月左都夫、住友本店総理事の鈴木馬左也、最後の連合艦隊司令長官小沢治三郎、そして戦前戦後の高鍋町長柿原政一郎などです。

今日宮崎大学で学び、飛び立とうとしている皆さんが、高鍋にあった明倫堂に伝わる「無私の精神」を、これからの長い人生に、それぞれの立場で生かしながら、挑戦してもらいたいと思います。

卒業おめでとう。

令和3年3月23日

宮崎大学長 池ノ上 克

参考
和田雅実著:無私の精神の系譜 志に生きた高鍋人 鉱脈社 2017
鈴木進著:上杉鷹山に学ぶ 三笠書房 1994


  27:17~開式の辞
  27:43~卒業証書・学位記・修了証書の授与
  43:26~学長告辞
  56:15~祝電披露
  58:35~学部卒業生総代答辞
 1:06:18~大学院修了生総代答辞(修士課程及び専門職学位課程修了生代表)
 1:13:39~大学院修了生総代答辞(博士課程代表)
 1:17:30~大学院修了留学生代表挨拶
 1:24:34~閉式の辞

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