ニュースリリース
2020年02月17日 掲載
本学農学部植物生産環境科学科の稲葉丈人准教授らの研究グループは、シアノバクテリアが持つCO2濃縮装置「重炭酸イオン輸送体」を植物の葉緑体内包膜へ導入することに成功しました。
多くの陸上植物が分類される「C3植物」では、「光呼吸」と呼ばれる反応により光合成効率が低下していると考えられています。光呼吸を抑えるためには葉緑体内のCO2濃度を上げることが重要であると考えられており、その方法の一つとしてシアノバクテリアが持つCO2濃縮装置「重炭酸イオン輸送体」の葉緑体への導入が考えられています。これまでに、稲葉准教授のグループおよび海外の研究グループが、葉緑体内包膜への輸送シグナルを付加した「キメラ型重炭酸イオン輸送体」を植物に導入することに別々に成功していました。しかしながら、余分な輸送シグナルを除去した「野生型重炭酸イオン輸送体」の導入には成功していませんでした。今回、稲葉准教授らの研究グループは、タンパク質切断酵素を共発現させることで、葉緑体内でキメラ型から野生型に変換することに成功しました。これにより、輸送シグナル部位の影響を取り除いた重炭酸イオン輸送体を葉緑体表面に蓄積させることが可能になりました。本研究成果は、陸上植物へのCO2濃縮機構の導入だけでなく、葉緑体の代謝機能改変にも応用できると期待されます。
この研究成果は、本学所属の学生である上原晋(農学工学総合研究科博士課程3年・日本学術振興会特別研究員DC1)、清絢音(農学研究科修了)、佐田美咲(農学部植物生産環境科学科4年)によるものです。研究成果はNature Research社が発行する国際誌「Scientific Reports」に掲載されました。論文(英文)は以下のサイトからご覧いただけます。https://www.nature.com/articles/s41598-020-59190-1
〇宮崎大学農学部webサイトhttp://www.miyazaki-u.ac.jp/agr/
〇宮崎大学農学部植物生産環境科学科webサイトhttp://www.miyazaki-u.ac.jp/agrenv/
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