宮崎大学
ニュースリリース

産学連携により焼酎粕を燃料にするするための実用化プラントが完成 ~ 焼酎バイオエナジー宮崎日南工場 ~

2021年04月09日 掲載

2021年47日(水)、宮崎大学工学部と共同研究を実施してきたあなぶきハウジングサービスを中核とするあなぶきグループ(高松市、新宮章弘社長)は、焼酎粕を利活用して燃料にするための実用化プラントを設置した「焼酎バイオエナジー宮崎日南工場」の落成式を挙行し、新宮章弘社長、池ノ上克宮崎大学長および崎田恭平日南市長を含む50名以上の関係者が出席した。

南九州は焼酎の一大産地で、特に、宮崎県は焼酎売上額が2010年から8年連続全国1位で地域経済の大きな柱となっている一方、小規模な酒造メーカーは、焼酎の製造過程で発生する焼酎粕(焼酎蒸留粕)を廃棄物処理業者に「廃酸」として処理を依頼しており、そのコストが大きな課題となっていた。

そこで、この地域課題解決のため、現あなぶきハウジングサービス焼酎バイオマス事業推進課の池田勇人氏が、焼酎粕から高濃度エタノールを抽出することなどで、資源のリサイクルを図るとともに、焼酎粕の処理コスト削減をする方法はないかと模索し、最終的にたどり着いたのが塩盛弘一郎教授だった。

2013年に宮崎県産業支援財団の紹介で塩盛教授が相談を受けた当初、実用化には課題も多かったが、その後の池田氏の真摯な実験の取り組みで、焼酎粕の再蒸留の過程でエタノールが増えること、でんぷん源を加えると再発酵が起こりエタノールを増やせることを確認し、これらの結果と塩盛研究室で蓄積していた蒸留技術を基に、焼酎粕からバイオマス燃料を製造する焼酎粕処理プロセスを構築するための共同研究を、当時の同氏が所属する加賀城建設(株)と2014年に本学産学・地域連携センター内に研究室を構え、2017年には同センター敷地内に実証パイロットプラントを設置して実証実験を開始した。

今回完成した本工場は、敷地面積約2060㎡(建物面積約380㎡)で、あなぶきグループが出資して建設したもので、一日に処理できる焼酎粕は約12トン。焼酎粕に食品加工会社などで処分される生芋に含まれるでんぷんを加えることでエタノール発酵が起こり、最終的には一日あたり約1,200リットルのエタノール燃料とともに、約2トンのペレット燃料を製造できるようになる。また、それらを処理プロセスの燃料に使用することで、コスト削減と二酸化炭素排出削減を実現する焼酎粕処理プロセスとなっており、酒造会社への導入を目指す。そして、本処理プロセスにより、焼酎粕をカーボンニュートラルなバイオマス燃料に変換することで焼酎製造のエネルギーリサイクルの実現が期待される。

池ノ上学長は「本学では、地域貢献を最優先に取り組んできたが、塩盛研究室における研究成果を地域課題の解決に直結する形で企業との連携ができたことはうれしい限り」と述べ、池田氏は「一日でも早く地域の酒造会社の期待に応えたい」と落成式を離れたところから見ながら感慨深げに語った。

宮崎大学では、本年4月に設立された「みやざきSDGsプラットフォーム」の事務局を置くなど、今後も産学官連携を強化しながら、環境にも配慮した形で地域課題の解決に資する取組を強力に推進していくこととしている。

挨拶をする新宮社長
挨拶をする池ノ上学長

挨拶をする﨑田日南市長
これまでの経緯などを説明する塩盛教授

テープカット式の様子
施設内の様子

焼酎粕を持って説明をする塩盛教授
今回の立役者である池田勇人氏

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