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令和4年度卒業証書・学位記・終了証書授与式告辞(令和5年3月24日)

告 辞

学部卒業生、別科修了生、研究科修了生の皆さん、卒業、おめでとうございます。心から祝福の言葉を贈ります。
また、この日を待ち望んでおられたご家族の皆様はじめ関係の皆様も、さぞかし、お喜びのことと存じます。重ねて、お祝い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、今年も、出席者を各学部・研究科の卒業生、修了生に限定しました。それでも、本日ここに式典を挙行することができ、われわれ教職員一同も本当に喜ばしく思っています。卒業を祝福する気持ちは、会場内のみならず、webで視聴されている多くの場所にも満ち溢れているものと信じています。

さて今回、総計1,242名が卒業・修了を迎えられました。
学士課程では教育学部114名、医学部153名、工学部347名、農学部286名、地域資源創成学部83名に卒業証書・学位記を授与いたしました。
大学院修士課程では教育学研究科15名、看護学研究科10名、工学研究科140名、農学研究科52名、地域資源創成学研究科5名、医学獣医学総合研究科6名に、
そして、大学院博士課程では医学獣医学総合研究科博士課程22名、農学工学総合研究科博士後期課程7名に学位記を授与いたしました。
さらに、畜産別科でも2名の修了生に修了証書を授与いたしました。

本日、卒業式を迎えた1,242名の皆さんは、大学生活の多くを新型コロナウイルス感染症によって様々な影響を受けました。
学業はもとより、部活やアルバイトの制限など、多くの困難があったと思います。それらの壁を乗り越えて、本来の目的を達成した皆さんの努力に心から敬意を表します。この特別な経験を、これからの人生の糧として活かしていただき、これから起こるであろう、さまざまな事態に立ち向かうための礎にして欲しいと切望します。

さて、卒業にあたり、是非とも記憶していただきたいことがあります。
一期一会に示されるように、出会いは一度きりの可能性があり、その重要性は人口に膾炙されています。この一期一会には、別れもまた一度きりであって、二度と巡り会えないことがある、したがって、別れも大切にしなさい、という教えが含まれています。
学生生活を支えてくれた家族や親戚、大学生活で得た掛け替えのない友人達、お世話になった地域の方々、今一度、思い起こして下さい。宮崎の食事、気候、香り、思い出深い場所、大学のキャンパス、図書館や食堂、そして指導してくれた先生方や職員の面々、大学で学んだことと一緒に記憶に刻みつけて下さい。大学を去るこの時に、大学の原風景として、しっかりと記憶に留めて欲しいと思います。この原風景の記憶が、これから社会の中で、折に触れて、きっと役に立ちます。

さて、大学における卒業は、学業を終えるという意味と共に、人生の新たな旅立ちを意味するcommencementでもあります。今日の卒業式、この人生の新たな始まりにあたり、私から伝えたいことはひとつ、何事であっても楽しむことの重要性です。

少し横道に逸れますが、皆さんは大学で学習する中で、物事を多面的に見ることを学んだに違いありません。また、色々な人とコミュニケーションをとる中で、多様な視点があることを知ったことでしょう。物事を多面的に捉えること、これこそが学問の発展にもつながるものです。
多面的な視点は、物事の見方に限らず、精神的な捉え方でも同様に重要です。むしろ、精神的な捉え方の方が大切かもしれません。

孔子の言葉に、これを知る者はこれを好むものに如かず、これを好むものはこれを楽しむものに如かず、という言葉があります。
私なりに現代訳を加えますと、まず、知っている、知識を持っているということは重要です。しかし、知っていることと、好むことを比較すると、好むことのほうが優っている。なぜなら、その知識を応用したり活用したりする際には、それが好きである人には敵いません。
ただ、好む、好まないは、感情の問題であって、理性の問題ではありません。一方、楽しむか、楽しまないかは、理性が関与します。すなわち、好まないことであっても、苦しいことであっても、それを理性的に楽しむことができれば、それこそが最も良い状態です。楽しむに如かず、これこそが重要です。
これを知る者はこれを好むものに如かず、これを好むものはこれを楽しむものに如かず、何事であっても楽しむことが重要であることは、3千年以上前から、人生の真理として教えられています。

われわれは、同じものを見て、美しいと思うこともあれば、そうでない時もあります。それは、見る対象ではなく、それを感じとるわれわれの問題だと言えるでしょう。よく言われることですが、グラス半分の水を見て、half-fullと捉えるか、half-emptyと捉えるか? 残っている半分に希望を持つ、あるいは、残り半分の水をいかに楽しむか、が人生を切り開く上で重要であろうと思います。
どんな状況にあってもそれを楽しむ精神的強靭さは、物事を多面的に見ることと同様に、訓練によって取得することが可能です。Always feel happy、この精神を訓練することで身につけ、強靭な精神力で様々なことにチャレンジし、これからの人生を切り拓いて欲しいと思います。

社会情勢の変化が激しく、将来が見通せない厳しい状況が続いています。こういう時局に最も大切なことは、根幹となる基本に立ち返ること、ブレない軸を持つこと、です。皆さんは、本日、宮崎大学から飛び立っていきますが、宮崎大学はこれからも皆さんにとってルーツであり、軸であり続けます。いつでも母校の先生が、先輩が、あるいは仲間が、皆さんと繋がりを持っています。母校の門戸は常に開放されています。この宮崎大学をルーツとして、様々なことにチャレンジし、大きな枝を伸ばし、人生の充実した果実を実らせて欲しいと思います。

あらためまして、卒業を、そして人生の新たなスタートを、心からお祝いし、告辞とします。

令和5年3月24日
宮崎大学長 鮫島 浩

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