宮崎大学
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令和7年度卒業証書・学位記・修了証書授与式告辞(令和8年3月23日)

告 辞

本日ここに、学部卒業生、別科修了生、研究科修了生、関連各位をお迎えし、令和7年度の卒業式、学位記授与式を挙行出来ることを心から嬉しく思います。
また本日は、多くのご来賓の皆様をお迎えすることができ、本当にありがたく思います。ご来賓の皆様に、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

あらためまして、卒業生の諸君、卒業おめでとう。
宮崎大学を代表して、心から、祝福の言葉を贈ります。
また、この日を待ち望んでおられたご家族はじめ、関係者の皆様も、さぞかしお喜びのことと存じます。重ねて、お祝い申し上げます。

今回、総計1,316名が卒業・修了を迎えました。
学士課程では合計1,017名に卒業証書・学位記を授与しました。
大学院修士課程では276名に、そして、大学院博士課程では21名に学位記を授与しました。
さらに、畜産別科でも2名修了証書を授与しました。


本日ここに卒業する1,316名の皆さんは、日本の最高学府である国立大学を卒業し、次のライフ・ステージに進むことになります。

そこで、現在の社会情勢を眺めると、世界中で政治が不安定化し、また、ウクライナ侵攻、ガザ侵攻、ベネズエラ問題、さらには世界各地の武力衝突と、各地で紛争が絶えません。 教育、文化面においても、AIの驚異的な進歩は目覚ましく、われわれの生活全般に入り込み、長短織り交ぜて、大きな影響を与えつつあります。 このような現状を見ますと、われわれは歴史的に大きな変革期にあることは確実です。その中に飛び込んでいく皆さんは、歴史の立役者となり、また、目撃者となることでしょう。

この変革の中、将来が見えないという不安に駆られることもあると思います。ただ、歴史を振り返って見てください。将来が見渡せた時代は、人類史上、これまで一度もありません。これまでも皆一様に、不安な時代を生きてきたのです。
そこで歴史上の賢人たちは、「どう生きるべきか」という問いに対して、さまざまな答えを示してきました。私にとってすっきりと腑に落ちたのは、「どう生きるべきかについては、考えるな、ただ実践せよ」という箴言でした。
文豪ゲーテは、これに加えて、進路に迷った時には、あれこれと考えるのではなく、信念を持って、勇気を持って、第一歩を踏み出すことが肝要であると言っています。やはり、実行せよ、です。
同様に、実践主義哲学者のカーライルも、「我々の重要な努めは、遠くに霞んでいるものを見ることではなく、目の前にはっきり見えるものを実行に移すことである」と言っています。ごく平凡な言葉ですが、極めて重要な文言です。
 複雑系で、何が正解かわからないこの世の中ですが、どうすれば良いのか迷ってばかりいるのではなく、大学生活で学んできたものを活かし、勇気を持って第一歩を踏み出すこと、そして着実に実践し続けること、そのような実践の中で自分なりの解が見えてくると、人類の歴史は示しています。皆さんも、是非、丁寧で着実な歩みを進めていってください。

 さて、昨年のノーベル化学賞は北川 進 先生の「金属・有機構造体の開発」に授与されました。新聞等の報道では、当初の実験では仮説は実証されず、失敗であったとのことですが、その結果を多面的に幾度も検討し、慎重に考察した結果、その構造体自体ではなく、構造物が作り出した空間こそに価値がある、という気づきがあった、と報告されています。このセレンディピティを掴み取り、実験をさらに展開させたところがノーベル賞に繋がったわけです。われわれも、物事を多面的に見ること、複眼的に考察できるよう、努力したいものです。
受賞決定のニュースでは、無用の用、という老荘思想が引き合いに出されていました。覚えている方もおられるでしょう。一見、無用と思えるもが実は役に立つ、無の、もって用を為せばなり、という老子の思想です。
西洋科学の頂点であるノーベル化学賞が、実は東洋の考え方、しかも老荘思想の着眼点から生み出されたものであるということは、実に興味深いことです。この観点は、東洋と西洋のどちらの考え方も身につけている研究者に特有の感性であり、もしかすると、優位性なのかもしれません。同様の背景を持つわれわれは、もっともっと世界で活躍できる可能性があることを示しています。さらにいうならば、もっと活躍すべき、時代の要請を受けている、とも言えます。皆さんも、これからも夢に向かって頑張ってください。

世界を俯瞰すると、環境問題、貧困問題、人口問題など、どれひとつをとっても重要な課題であるとともに、これらは全てが連携して複雑に関連し合っています。われわれは、それを自分事として捉え、考え、対応することが求められています。
たとえ世界規模の問題であっても、その基盤には、ヒトの日常の営みが関与している限り、問題の根本はわれわれの日常活動の積み重ねによって引き起こされています。すなわち、日常活動を改善すれば、世界規模の問題も解決につながるのです。
芥川龍之介は、人生を幸福にするためには、日常の瑣事、些細な事を愛さなければならない、と言いました。些細なことを丁寧に、心を込めて行うことです。
また、アメリカ海軍大将のマクレイブン氏は、母校テキサス大学の卒業式で、世界を変えようと思うなら、毎朝のベッドメイキングから始めましょう、と大変、示唆に富む発言を行いました。1日の始まりの些細な任務を丁寧に完了することが、いつしか大きな達成につながるというメッセージを込めています。朝の、ささやかな良い習慣が、自分を制し、世界的問題の解決につながるのです。
皆さんが、世のため、人のために行うひとつ一つの小さな取り組みが、最終的には、世界規模の問題の解決に繋がります。大学で学んだ自分の専門性の中で、世界市民としての視点を持ち、小さなこと、できることから始め、世の中に貢献してください。宮崎大学のモットーである、「世界を視野に、地域から始めよう」の精神で、第一歩を進めてください。

本日、皆さんは、大学生活に一つの区切りをつけ、新たなステージに出発します。
卒業にあたり、最後に、記憶に留めていただきたいことをお伝えします。それは、皆さんのルーツはここ、宮崎大学にあるということです。140有余年に及ぶ本学の長い歴史の一ページに、皆さんの名前も刻み込まれます。宮崎大学はこれからも皆さんにとって人生の軸であり続けます。母校の門戸は常に開放され、学び直しや学びがさねの機会が準備されています。この、歴史ある宮崎大学をルーツとして、様々なことにチャレンジし、人生の充実した果実を実らせて下さい。宮崎大学の将来は、卒業生である皆さんの活動にかかっています。

結びに当たり、あらためまして、卒業を、そして人生の新たなスタートを心から祝福し、告辞といたします。


令和8年3月23日
宮崎大学長 鮫島 浩

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