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ニュースリリース

テニュアトラック推進室の東智弘助教の研究が 国際学術誌「ChemPhotoChem」の表紙に掲載!

2023年12月04日 掲載

テニュアトラック推進室の東智弘助教の研究が
国際学術誌「ChemPhotoChem」の表紙に掲載!


宮崎大学研究・産学地域連携推進機構テニュアトラック推進室の東智弘助教の研究成果が、Wiley-VCH社発行の国際学術誌「ChemPhotoChem202311月号に掲載されるとともに、その科学的洞察が高く評価され、同誌のFront Cover(表紙)を飾りました。(発行日: 20231127)

ChemPhotoChem」は、人工光合成技術・光触媒化学・光電気化学・分光分析化学・太陽電池など、基礎光化学と応用光化学を専門にするトップレベルの査読付き科学ジャーナルです。 

本研究は、人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)・東京大学・信州大学との共同研究によって実施されたものです。また、同誌のCover Profile(特集記事)にて、研究グループと研究概要が紹介されました。

Electrochemical Properties of BaTaO2N Photocatalyst with Visible-Light-Driven Water Splitting Capability (和文:可視光駆動型の水分解用BaTaO2N光触媒の電気化学特性) 論文著者: T. Higashi,* S. Nishimae, Y. Inoue, Y. Kageshima, and K. Domen, https://doi.org/10.1002/cptc.202300153

Front Cover:
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cptc.202300280

Cover Profile:
https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cptc.202300279

▼研究成果の要旨 - 精密電気化学測定によるBaTaO2N光触媒微粒子の特性定量評価 -
光触媒微粒子の粉末は、太陽光エネルギーを利用して水(H2O)を水素(H2)と酸素(O2)に分解することができます。本手法の光触媒的水分解反応は、グリーン水素の大規模製造を可能にする次世代の技術として注目されています。

バリウムタンタル酸窒化物[BaTaO2NBTON]は、波長650 nmまでの可視光を吸収して水を分解できる半導体光触媒です。近年、一段階の光励起によってH2OH2O2へ完全分解できるBTON光触媒が開発されました。このBTON光触媒が示す太陽光-水素(STH)エネルギー変換効率は、試料の作製条件(焼成温度や焼成時間)に強く依存して増減することが見出されています。特定の作製条件で得られたBTON光触媒は、太陽光の照射下で水分解反応の活性を示しますが、特定の作製条件から外れると途端に活性が消失してしまいます。これらの活性型BTONと不活性型BTONとの間に潜む半導体特性の本質的な差異については、未だに明らかになってはいませんでした。STHエネルギー変換効率の更なる向上と材料開発指針の確立のためには、BTON光触媒の水分解活性を制限する要因を突き止める必要がありました。

そこで本研究では、BTON光触媒の微粒子をTa/Ti金属層の上に固定化して微粒子光電極として利用し、BTON/H2O固液界面における未知の半導体パラメータの定量評価に取り組みました(図1)。電気分析化学測定とX線光電子分光測定の結果から、活性型BTONのキャリア濃度(表面欠陥濃度)は、不活性型BTONよりも一桁低いことが明らかになりました。光電気化学(PEC)測定の結果から、活性型BTON微粒子光電極が生成する酸素発生反応(OER)由来の光電流値は、不活性BTONの光電流値よりも約3倍大きいことがわかりました。さらに、BTON微粒子光電極のPEC特性は、BTON微粒子の表面に担持した助触媒の触媒活性によって制限されていることが明らかになりました。今後は、本研究で得られた科学的知見を基に、光触媒表面に担持する助触媒の触媒活性を精査し、光触媒的水分解ならびにPEC水分解の更なる高効率化を目指します。

論文URL: https://doi.org/10.1002/cptc.202300153

図1.png

1. BaTaO2NBTON)光触媒の微粒子を用いて作製した光電極(Particulate photoelectrode)による光電気化学(PEC)水分解のイメージ。 疑似太陽光が照射されたBTON微粒子光電極は、水を酸化して酸素(O2)を生成する。BTON光電極と直列に接続された電極触媒(Electrocatalyst)は、水素(H2)を生成する。

先生写真.png

東 智弘

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