ニュースリリース
2020年06月01日 掲載
本学工学教育研究部の奥山勇治准教授の参加する九州大学との共同研究グループは、400℃の中温度で動作する固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるプロトン(H+)伝導性電解質BaZr0.4Sc0.6O3-δ(通称Heavily H+ and Sc-doped Barium Zirconate :HSBZ)を開発しました。
SOFCに用いる電解質材料は、結晶粒内と粒界を含んだ全プロトン伝導度が0.01 Scm-1を超え、かつ燃料電池動作環境に含まれる水素、酸素、二酸化炭素、水蒸気に対して安定でなければなりませんが、400℃という温度でこのような材料はこれまで見出されていませんでした。本電解質を用いた固体酸化物型燃料電池では、中温動作により高価な白金や耐熱材料が不必要となるため、燃料電池の大幅コストダウンが期待されます。
本研究は、JST戦略的創造研究推進事業CREST(JPMJCR18J3)、科学研究費補助金(JP15H02287、 JP16H06124、JP18H01694)の支援を受けました。本研究成果は、Wiley-VCH社が発行する科学誌「Advanced Energy Materials」のオンライン版で公開されました。
宮崎大学奥山グループでは高圧下で電気伝導度を測定する装置(写真1)を独自に開発し、高圧水蒸気下での物性評価を担当しました。150℃から600℃において BaZr0.4Sc0.6O3-δ(図1)のプロトン伝導度を2.4atmの高水蒸気圧下にて測定することで400℃以上でも0.01 Scm-1を超えるプロトン伝導度を示すことを実証しました。
〇宮崎大学プレスリリースhttp://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20200528_01_press.pdf
◯JSTプレスリリースhttps://www.jst.go.jp/pr/announce/20200528-2/index.html
写真1 高圧水蒸気下で電気伝導度を測定する装置
図1 400℃でプロトン伝導度0.01 Scm-1を超える固体電解質BaZr0.4Sc0.6O3-δの結晶構造(左図)と材料組織(右図)
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