新規HIV増殖阻害宿主因子の同定と作用メカニズムの解明

2024年02月21日 掲載

 

新規HIV増殖阻害宿主因子の同定と作用メカニズムの解明

宮崎大学 農学部獣医学科准教授　齊藤　暁、京都大学大学院 生命科学研究科　准教授　吉村　成弘らは、新たなヒト免疫不全ウイルス (HIV) 増殖阻害宿主因子としてZCCHC3を同定し、その作用メカニズムを解明しました。ZCCHC3はHIV増殖サイクルの少なくとも2つのステップを阻害することでウイルス増殖阻害効果を示すことを明らかにしました。本研究結果は2024年２月１７日に「iScience」に掲載されました。

本研究は、齊藤暁准教授、吉村成弘准教授らに対する日本医療研究開発機構（AMED）エイズ対策実用化研究事業（22fk0410047、23fk0410056、23fk0410058）、AMED新興･再興感染症研究基盤創生事業（多分野融合研究領域）（20wm0325009）、AMED地球規模保健課題解決推進のための研究事業（日米医学協力計画の若手・女性育成のための日米共同研究公募）（21jk0210039）などの支援の下で実施されました。

【発表のポイント】

• HIVの増殖を阻害する新たな宿主因子ZCCHC3を同定した
• ZCCHC3はウイルス産生に加えて、ウイルス感染価を低下させることを明らかにした
• ZCCHC3はウイルスのGagタンパク質、ゲノムRNAの両方と結合することで効果を発揮することを明らかにした
• 今後、レンチウイルスベクターによる高効率な遺伝子治療法の開発にも貢献していきたい

図１　ZCCHC3は幅広いウイルスの増殖を阻害する

図２　ZCCHC3によるHIV増殖阻害効果の作用モデル

▽詳細はこちらから▽

・プレスリリース 2024/2/21
https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20240221_01_press.pdf

【原論文情報】

雑誌名：「iScience」誌
論文タイトル：Host ZCCHC3 blocks HIV-1 infection and production through a dual mechanism
著者：Binbin Yi, Yuri L Tanaka, Daphne Cornish, Hidetaka Kosako, Erika P Butlertanaka, Prabuddha Sengupta, Jennifer Lippincott-Schwartz, Judd F. Hultquist, Akatsuki Saito*, and Shige H. Yoshimura*
DOI:10.1016/j.isci.2024.109107
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589004224003286