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ニュースリリース

ニパウイルス研究および診断試験に適したブタ由来細胞の樹立に成功 ~ウイルス分離やワクチン開発に貢献する新たな細胞ツール~

2025年11月18日 掲載

ニパウイルス研究および診断試験に適したブタ由来細胞の樹立に成功
~ウイルス分離やワクチン開発に貢献する新たな細胞ツール~

宮崎大学農学部獣医学領域、外国人研究員(当時)Hui Zhang 氏と齊藤暁准教授との研究チームは、
ニパウイルス(Nipah virus)の受容体として知られる Ephrin-B2 タンパク質をブタ由来PK-15細胞に安定的に発現させた新しい細胞株の樹立に成功しました。この細胞は通常のPK-15細胞と比べると1,000倍以上ニパウイルス感受性が高まっています。また、これまでウイルス分離や感染実験に広く用いられてきたVero細胞よりも30倍以上高いニパウイルス感受性を示すことから、感染症研究および診断分野での活用が期待されます。
本研究成果は、2025年11月17日にWiley社の国際学術誌『Microbiology and Immunology』で公開されました。

【発表のポイント】

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【研究の概要】
ニパウイルスは、ブタを介してヒトに感染することがある高病原性ウイルスで、感染症法上の二類感染症に指定されています。研究チームは、ウイルスの宿主受容体であるEphrin-B2をブタ由来細胞に発現させ、ブタ体内での感染過程をより正確に再現できる細胞系の構築を目指しました。通常のニパウイルスの取り扱いにはBSL-4実験室が必要となるため、本研究ではBSL-2実験室で取り扱い可能な擬似ウイルスを使用しました。解析の結果、Ephrin-B2持続発現細胞は通常のPK-15細胞と比較して1,000倍以上ニパウイルス感受性が高まっていることを示しました。また、作製したPK-15/Ephrin-B2細胞は、従来のVero E6細胞を大きく上回る感染効率を示し、感染性評価や中和抗体試験に有用であることが確認されました。さらに、Stat2欠損細胞との組み合わせにより、インターフェロン存在下でも良好なニパウイルス感受性を維持できることが明らかになり、今後はウイルス分離やワクチン開発、診断試験への応用が期待されます。

【論文情報】
掲載誌: Microbiology and Immunology
論文タイトル: Development of a Porcine Cell Line Stably Expressing Ephrin-B2 for Nipah Virus Research and Diagnostic Testing
著者: Hui Zhang, Akatsuki Saito (宮崎大学 農学部 獣医学領域)
論文URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1348-0421.70022
 
【詳しくはこちらから】
https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20251118_01_press.pdf

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