宮崎大学
ニュースリリース

イオン液体のイオン伝導性に影響する分子論的メカニズムを 実験・理論的アプローチによって解明

2020年10月26日 掲載

宮崎大学キャリアマネジメント推進機構テニュアトラック推進室の宇都卓也助教が参加する共同研究グループは、ピロリジニウム型イオン液体で側鎖エーテル酸素の位置がイオン伝導性を向上させる分子論的メカニズムを解明することに成功しました。この研究成果は、多様な産業用途が期待される電解質や機能性溶媒の設計に役立つものです。

イオン液体は100℃以下で液体として存在する塩であり、一般的な有機溶媒には無い特徴を持つために注目されています。低融点・低粘度のイオン液体を設計することが要求されていますが、分子構造(化学構造)と物性や機能との相関は不明な点が多いです。本研究では、実験と理論的アプローチを組合せることで、エーテル酸素の位置に由来するカチオン構造の柔軟性が融点や粘度、イオン伝導度などの物性に影響することをつきとめました。分子シミュレーションにおいて実測データを再現する分子力場パラメータを独自に開発することにも成功し、公開した力場パラメータは様々な理論的研究で活用されることが見込まれます。今後、イオン立体構造を制御することにより新規なイオン液体系を開発する設計指針を与えることが期待されます。

この成果は、世界的な物理化学誌の一つである英国王立化学会Physical Chemistry Chemical Physics誌の第2235号(2020921日(月))に公開されました。さらに、本成果は高い評価を受け、同学術誌の2020 PCCP Hot Articlesにも選出され、掲載号のバックカバーを飾りました。このカバーアートは、カチオン側鎖におけるエーテル酸素原子の位置によって変化するピロリジニウム型イオン液体の輸送特性を「すごろく」になぞらえて表現したものです。

20201022_04_01.pngスーパーコンピュータを用いた第一原理計算によるピロリジニウム型イオン液体の立体構造解析

20201022_04_03.jpg
Physical Chemistry Chemical Physics誌 第2235号のバックカバー

【論文題目】
掲 載 誌:英国王立化学会Physical Chemistry Chemical Physics誌
     第22巻35号 19480-19491 ページ

タイトル:The effects of the position of the ether oxygen atom in pyrrolidinium-based room
     temperature ionic liquids on their physicochemical properties

著  者:Kazuki Yoshii, Takuya Uto, Naoki Tachikawa, Yasushi Katayama
DOI:https://doi.org/10.1039/d0cp02662j

【宮崎大学プレスリリース】
http://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20201026_press.pdf

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