ニュースリリース
2022年05月13日 掲載
日本医科大学先端医学研究所病態解析学部門の弓削進弥助教、福原茂朋大学院教授、宮崎大学医学部機能制御学講座血管動態生化学の西山功一教授を中心とした研究グループは、血流により生じる圧力が創傷治癒において血管をつくり直す現象を調節する血管新生の新たなメカニズムを発見し、その研究成果は、2022年5月12日に米国科学雑誌「Nature Communications」オンライン版で公開されました。
我々のからだの組織が損傷を受けると、もともとあった血管から新しい血管が伸びることで血管網はつくり直され、損傷した組織が修復されます。この新しい血管がつくられることを血管新生といいます。
今回、研究グループは、ゼブラフィッシュをモデル動物として用いた蛍光イメージングにて、創傷治癒における血管新生を生きたまま観察し、「創傷の際の血管新生では、血流の下流側で損傷を受けた血管のみから新しい血管が伸長し、上流側では心臓のポンプ機能が生み出す内腔圧により新たな血管が伸長しない」という、生きたままの現象を直接観察するライブイメージングでしか知りえない事実を発見しました。さらに、微小流体デバイスを使った試験管内再現実験をうまく組み合わせることにより、血管内皮細胞が内腔圧を感知し、血管新生が抑制される分子のしくみ(メカノバイオロジー機構)を明らかにしました。
この研究成果は、効果的な血管再生療法や血管新生抑制療法の開発を通して、創傷治癒、心筋梗塞・狭心症、閉塞性下肢動脈硬化症、がんといった様々な病態の治療に貢献する可能性を秘めています。
▽詳細はこちらから▽・プレスリリース 2022/5/10https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20220510_06_press.pdf
・研究者データベース 西山 功一 https://srhumdb.miyazaki-u.ac.jp/html/100002360_ja.html
・宮崎大学医学部 機能制御学講座 血管動態生化学研究室 http://kumamoto-ircms-nishiyama.jp/
【原論文情報】Mechanical loading of intraluminal pressure mediates wound angiogenesis by regulating the TOCA family of F-BAR proteinshttps://www.nature.com/articles/s41467-022-30197-8
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