宮崎大学
ニュースリリース

牛伝染性リンパ腫ウイルスと宿主の体質遺伝子を同時に検査する技術を開発~研究成果が発表されました~

2023年02月14日 掲載

牛伝染性リンパ腫ウイルスと宿主の体質遺伝子を同時に検査する技術を開発!

人や動物は病原体に感染したからといって、必ずしも発症するとは限りません。本研究は、農学部獣医学科関口敏准教授らの研究チームが独自に開発したウイルスの検査技術と宿主の体質遺伝子の検査技術を融合させ、ウイルス量と発症リスクに関連する宿主の体質遺伝子を一つのウェル (反応空間)で同時に検査できる技術を開発することに成功しました。本研究により、従来は別々に実施していた検査が一度で済み、検査コストと作業時間の大幅な削減が可能となりました。さらに本論文では、感染症を病原体と宿主の両側面から総合的に理解することの重要性についても提言しています。
本研究は、宮崎大学とベンハー大学(エジプト)の国際共同研究による研究成果で、2023年1月10日にアメリカ微生物学会が発行する国際学術誌『mSphere』で公開されました。
発表者として大学院医学獣医学総合研究科 博士課程3年生の野津さんと鄔さんも名を連ねています!

【発表者】
野津 昂亮 (宮崎大学 大学院医学獣医学総合研究科 博士課程3年生)
El Daous Hala (Faculty of Veterinary Medicine, Benha University)
三苫 修也 (宮崎大学 医学部 助教)
鄔 心悦 (宮崎大学 大学院医学獣医学総合研究科 博士課程3年生)
乗峰 潤三 (宮崎大学 農学部獣医学科 教授)
関口 敏 (宮崎大学 農学部獣医学科 准教授) *責任著者

【発表のポイント】
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は牛や水牛に感染して,血液のガンを引き起こすウイルス性の感染症で、監視伝染病の中で最も発生数が多い。BLVに一度感染すると生涯にわたって持続感染し、治癒することはない。
感染牛の中には生まれつきウイルスが体内で増えやすい体質(感受性)や増えにくい体質(抵抗性)の牛がいる。感受性の牛は大量のウイルスを産生するため,農場の主要な感染源となり、ガンを発症するリスクも高い。逆に抵抗性の牛は体内のウイルス量が極めて少ないため、他の牛に感染させたり、ガンを発症したりするリスクが低い。
本研究で開発した技術は、BLVのウイルス量と牛の体質を同時に検査することが可能で、感染症の診断に新しい検査コンセプトを提唱するものである。
病原体と宿主因子を同時に把握することで、感染の有無だけでなく、宿主の感染性(他の牛に感染させる能力)と予後を総合的に判断し、柔軟な防疫対策を講じることが可能となる。

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▽詳細はこちらから▽
・プレスリリース 2023/2/14
 https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20230214_01_press.pdf

【原論文情報】
雑誌名: mSphere
論文タイトル: Identifying Pathogen and Allele Type Simultaneously in a Single Well Using Droplet Digital PCR

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