2024.08.06
半導体サイエンスプログラム
半導体デバイスの特性劣化を引き起こす発熱の高感度検出法の新規開発
半導体サイエンスプログラム|福山 敦彦
プロフィール
学位取得大学
- 東北大学 博士(工学)
留学経験
- University of Toronto
受賞歴
- 第15回安藤博記念学術奨励賞 (2002.6)
- 第2回船井情報科学奨励賞 (2003.4)
- 第1回素材工学研究奨励賞 (2004.2)
- The 22th AFI Best Poster Presentation Award (2022.11)
- 応用物理学会支部貢献賞 (2023.11)
メディア出演
- 宮崎日日新聞「パワー半導体とは」2023年8月31日
- 日本経済新聞/熊本日日新聞/宮崎日日新聞/NHK/UMK/MRT「みやざき半導体関連人材育成コンソーシアム設立総会」2023年12月19日
- UMK/MRT「知事とのふれあいフォーラム」2024年1月31日
- UMK「みやざきゲンキTV」2024年3月10日
発熱は電子機器の特性を劣化させます
パソコンやスマートフォンを長時間利用していると熱くなる経験があると思います。半導体デバイスは電子の流れを制御することで動いていますが、流れる電子の一部は欠陥準位を介して再結合して熱を放出します。これによって半導体物性値が変化してしまうため半導体デバイスの性能が低下します。そこで我々の研究室では、電子が発熱する物理素過程を高感度に検出する新たな評価法を開発し、欠陥準位の正体を明らかにする研究を行っています。
1000億分の1メートルの表面膨張変位を検出できる新規評価法の完成
半導体材料内の発熱による表面膨張をヘテロダイン干渉技術によって非接触に検出するレーザーヘテロダイン光熱変位(LH-PD)法を世界で初めて開発しました。その測定限界は50ピコメートル(1000億分の1メートル)の表面変位量という他に類を見ない高感度な装置です。測定点をスキャンすることで、励起電子がどこまで移動したあとに発熱し、その熱がどこまで拡散するかを可視化(マッピング)することができます。
サーマルマネジメントが様々な恩恵をもたらす
熱の発生原因、発生場所、その伝搬特性を解明できれば、半導体デバイス中に発生した熱をある一箇所に集めて(集熱)熱電変換により電力として回収したり、熱の発散を促進(散熱)させて半導体物性値の変化を抑制することが可能となります。また、熱の発生原因である欠陥準位の正体を解明することで半導体材料の品質が大幅に向上し、より高性能且つ高機能な次世代半導体デバイスの実現が期待できます。
高校生の皆さんへ
来るスマート社会実現のためには、現在主流のシリコンだけではなく様々な種類の半導体材料による高性能且つ高機能な半導体デバイスが不可欠です。半導体の特徴や、それをどのように産業応用できるかを総合的に科学できる「半導体サイエンスプログラム」で一緒に学びませんか?