twitterロゴ
B!

Vol.5 ベトナムの若者の皆さんとの楽しい対話 ~JICA青年研修(KCCP)・アグリビジネス/アグリツーリズム~

企業の方へ
2022.2.10

『お気に入りの本や音楽と旅するように、このコラムを読みながら地域を旅してもらいたい』。そんな気持ちのまにまに綴る、Capa+部門長コラム。(不定期で掲載します)

アグリビジネス・アグリツーリズムとは?

「アグリビジネス」や「アグリツーリズム」という言葉を聞いたことがありますか?
アグリビジネスとは、農業を核として、肥料・農業機械・飼料・農薬などの生産資材、農産物を加工する食品工業、運送・卸売り・小売りなどの流通等の関連するビジネスを総称したものです。アグリツーリズムは、アグリカルチャー(農業)とツーリズム(旅行)を組み合わせた造語で、緑豊かな農村・農家に滞在し、農業体験等農村で楽しむゆとりある旅行のことを言います。

なぜ今このような動きが?

それは、「地方が稼ぐ力」をアップさせるためです。地方の得意分野である農林水産業を活かして、素材に付加価値を付けたり生産資材を供給することをこれまでは都市部で行っていたものを、できる限り地方で行う「ビジネスの連環」を作り上げ、農林水産業を核としたクラスターを形成しようとするのがアグリビジネスです。
また、農山村の豊かな自然やゆったりとした時間の流れ、そして新鮮な食を活かして長期滞在型の観光客を呼び込み、外貨を獲得しようというのがアグリツーリズムです。

なぜベトナムの方たちと?

JICA(国際協力機構)に「Knowledge Co-Creation Program 」という、日本の資源やスキルを活かして発展途上国の人材育成に協力する取り組みがあります。この事業の一環として、今年度ベトナムの地方政府や企業、農家の若手の皆さんを対象として、アグリビジネス等をテーマに、オンラインではありますが、1月14日から21日までの期間、宮崎の農業やその政策、今回フィールドとした綾町の取組等を学ぶプログラムに、JICAと宮崎県の農業法人経営者協会が連携して取り組まれたのです。

▲宮崎とベトナムをつないで行われたオンラインアグリツーリズム

魅力的なプレゼン

私は最終日の4グループによるプレゼンテーションに参加し、意見交換をさせてもらいました。聞かせていただいて驚いたことがいくつかあります。それは以下の3点でした。

1 ベトナムの農業及びアグリビジネスのポテンシャルの高さ
2 プレゼンテーション資料作りのレベルの高さ
3 プレゼンテーションの上手さ、そして皆さんの親しみやすさ

ファイナルレポートのテーマとしては、「メコンデルタでのアグリツーリズム」「特定のファームをモデルとした6次産業化による運営効率の向上」等でした。どのプレゼンも、現状や地域の資源等に関してSWOT分析等を行った上で、具体的なビジネスモデルを多面的に組み立てており、かなり質の高いものでした。またビジネスモデル構築のベースに、SDGsやエシカル消費等の概念・理念がしっかり組み込まれており、長期的な戦略を持った魅力的なものでした。
 
特に印象深かったのは、最初のプレゼンテーションの冒頭で、Aチームのメンバー全員でベトナムの民謡を合唱してくれましたが、これに象徴されるように皆さんが笑顔で、かつ快活であったことです。

▲真剣な中にも笑顔が絶えないプレゼンとなりました

日本のローカルが世界のローカルと繋がる時代に

この機会をいただいて改めて感じたのですが、やっぱり話すこと、触れてみることはとっても大事ですね。今回はオンラインという限界はありましたが、地域のポテンシャルや参加者の熱意は十分に感じることができました。皆さん方から刺激されたせいでしょうが、話を聞きながら、そして質問や講評をしながらずっと考えていたのは、「私自身は、これから誰と何をやるのか」ということでした。

情報技術の発達によって、地方と地方が国境を軽々と飛び超えて繋がることができる時代です。今回参加してくれた皆さんがどんな取り組みをされるか、そして私がこれを契機に何をするか、これからも皆さんと直接つながって、お互いに成長しあえたらと思います。

最後にもう一つ。プレゼンテーションの前に、会場となった綾町のわくわくファームの周りを歩いてみました。青空も、雲も、空気も、畑の土も、やっぱり綾町は豊かで気持ちのいい場所でした!

▲アグリツーリズムの舞台となった綾町

文:永山 英也 Nagayama Hidenari
   Capa+部門長/宮崎大学長特別補佐