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畜産を支える「豚の体重が見えるメガネ』を開発 川末 紀功仁教授

2021年10月1日 宮大マガジン掲載記事

20211011_hito_01_01.jpg川末 紀功仁(かわすえ きくひと) 教授

宮崎大学工学部 工学科(機械知能工学プログラム担当)

豚を出荷する際の最適な体重は115kg。しかし100kgを超える豚を1日に数百匹、1頭1頭はかって出荷するのは大きな負担です。飼育日数と見た目による大きさで出荷時期を判断することが多く、適正体重で出荷されない豚が多いことが課題となっています。
今回、宮崎大学工学部の川末紀功仁先生が開発したのは「豚の体重が見えるメガネ」。
Al (人工知能)とAR (拡張現実)技術を駆使し、この装置が実現しました。

畜産県・宮崎のために

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「少年時代は、鉄人28号に夢中でした」と話す川末先生。

長崎大学でロボットの目の研究を重ね、前職の佐世保工業高等専門学校では、毎秒養殖場内の稚魚の数を毎秒2000匹数えられる装置を完成させました。2000年に宮崎大学に着任し、宮崎のためにできることを考えたときに、まず浮かんだのが畜産・和牛だったといいます。

「農学部の先生と一緒に研究会をつくり、和牛農家を訪ね、話をお間きしました。ほとんどの農家が目分量で体重測定をしていると知り、体重をはかるカメラの開発を始めました」。後に豚の体重測定に関するプロジェクトもスタートし、今回の装置開発がいよいよ進んでいきます。

両手が使えるのがポイント

このメガネは、3Dカメラがセンサーとなり、立っている豚であればどの方向からでも一瞬で体重をはかることができます。 「最初は手持ちのカメラで撮影するアイデアを思いつきましたが、走っている豚を撮影するのは難しい。 目なら動く豚を追うこことができる。そこに気づいたのがポイントでした。 さらに背骨に対して左右対称であることを利用して、全体像を把握できるようにしています」。 豚の画像はコンピューターに転送され、体高や胸囲などのデータを基に枝肉重量、生体重量を算出します。 両手が使え、1人でも作業ができるのは大きなメリットです。

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海外のメーカーとも契約

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特許出願のため、今年5月のプレス発表で初めてこのメガネの情報がオープンになり、問い合わせが殺到しました。 今後は、養豚業者と共同でデータを収集し、精度を上げると同時に、メーカーとの製品化を進めていきます。 国際特許も出願し、ドイツのメーカーと契約。9月から本格的に共同研究がスタートするそうです。 「コロナ下ということで、ZOOMを使って毎週、打ち合わせをしています。数週間というスピードで契約を結ぷことができました」。 宮崎のためにと生まれたアイデアが、形となり、国内、海外の畜産業を支える技術となっていきます。

川末先生から学生へのメッセージ

ものづくリをしたい人、人工知能 •Alに興味がある人は、ぜひ工学部を目指してほしいと思います。 機械知能工学は、若い人の力が発揮できる分野です。 大学受験を無事に終えて入学すると、 目標を見失ってしまいがちです。コンテストなどにも果敢にチャレンジしてくださ い。目標を持っている人は強いです。目標があるから勉強する意欲が湧きます。 私も、今回開発した機械を製品化するという目標があるからがんばれます。


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