農工連携分野 ICTを活用した牛のモニタリングシステムの開発
情報通信プログラム|Thi Thi Zin(ティティズイン)
プロフィール
- ミャンマーのヤンゴン大学理学部数学科卒業後、ヤンゴンコンピュータ大学大学院修士課程 情報科学専攻修了。
- 2001年に来日し、2004年大阪市立大学大学院工学研究科前期博士課程電子情報系専攻を経て、2007年に同大学電子情報系専攻の博士号を取得。
- 博士(工学)大阪市立大学
- 博士号を取得した後、日本学術振興会外国人特別研究員、東京大学特任研究員としての人生がスタートしました!
- 2013年ご縁を頂き、宮崎大学工学部電気システム工学科准教授へ就任し、後に宮崎大学工学部初の女性教授となりました。
- 宮崎大学女性研究者奨励賞(H29年度:地域・国際貢献部門)
学歴・経歴
受賞歴
メディア出演
- “牛の行動を観察-宮崎大学で新システム研究開発:生産力向上にも期待 牛の観察で研究進む”、MRT ニュース NEXT、2017年5月16日
- NHKの取材を受け、テレビ放映された。タイトル「AIで牛をとらえよ!カメラを止めるな!」 ・2018年12月20日:NHK宮崎放送局「イブニングみやざき」の特集コーナーで放送(宮崎県内)
- Webページ(NHK NEWS WEB)、AIで牛をとらえよ!、2019年1月25日
- 2019年12月24日:IoT 産業分野別記事 要素技術、「ATR・KDDI・宮崎大学、牛舎内で5G を活用して従業員の作業効率化を支援する実証試験を実施」
- 2020年1月10日:電波新聞 8 面 先端技術,ATR など 5G 活用し乳牛の居場所把 -フリーストール牛舎内 4K 映像で耳標読み取り
- 2020年 2月 17日,Nikkei グローカル,382 号,牛舎内の牛に取りつけられている耳標を画像認識するシステムの開発 5Gで1頭1頭の牛を管理
・2018年12月20日:NHK宮崎放送局「ニュース845」にて放送(宮崎県内)
・2019年1月8日:九州各局NHKの18:10~のニュース番組内で放送(宮崎県以外)
・2019年1月9日:NHK福岡放送局「おはよう九州沖縄」の特集コーナー(九州沖縄全域)
生産者の負担を軽減しながら家畜の状態を24時間監視できるシステムを目指す
非接触・非侵襲センサ情報の解析アルゴリズムを独自の手法で応用しシステム開発をしています。
高齢化、大規模化する現代の畜産で、24時間365日にわたり家畜の健康管理を適切に行い、異常や変化に留意し続けながら経営を継続することは容易ではありません。本研究では、家畜生産性の改善と地域活性化の実現を目的とする要素技術の開発を行います。一方、農業就業人口は減少の一途をたどり、持続可能な地域再生には、イノベーションによる農業システムの画期的な刷新が必要不可欠です。生産性を向上すると同時に、農家の負担を軽減する必要があります。そこで、牛のモニタリングシステムの開発を通じて、畜産農家の負担を軽減して豊かな生活環境を農家にもたらすことが目的です。
【牛の耳標読み取りシステムの開発】
牛舎内に設置した複数のカメラを5G等のネットワークで接続し、画像認識を行うサーバに映像を転送します。 牛の耳につけた目印(耳標)から識別番号を読み取り、牛舎内で特定の牛の位置の把握と個体識別を行います。 これにより、異常のある牛や、普段と違う行動を取る牛の居場所をいち早く認知することが出来、検査等の処置のための探索時間が短縮されることが期待されています。
早期に跛行を検知し重症化の防止と健康状態の維持、獣医師費用の低減・乳量損失の抑制をめざす
乳牛に起こる病気の中で、跛行を含む足の病気は発見が遅れやすく、病状の悪化によりほかの病気を引き起こしてしまう場合があります。そこで国のプロジェクトの一部として跛行検知システムの開発を行いました。開発した跛行検知システムは、4Kカメラで通過した牛の跛行スコアを自動的に計測し、360度カメラで通過した牛の個体を識別し、これらのデータを結びつけることで、ユーザーが跛行の結果を確認できるGUIアプリケーションを作成しました。
4Kカメラを使用した跛行検知率 78.6%、早期跛行検知率 87.5%
どちらも目標値に近い精度を達成できました。
分野の垣根を越えて様々な課題を解決する
現在は畜産業での研究開発の他にも、高齢者のモニタリングシステム開発を行っていますが、対象を変えても応用が可能な研究分野です。例えば動物なら、日本で多く畜産されている豚や鶏へ、また人なら、不審者を発見する防犯システムへの運用等、幅広く分野の垣根を越えて応用できます。 画像処理の技術に関する研究は、私たちが暮らしやすく、持続可能な社会のため様々な課題解決へ導くことができる非常に将来性の高い研究です。
高校生の皆さんへ
私たちの画像処理の研究は、誰もがより快適に、人や動物、資源が持続可能な社会環境作りのために、今後も発展を続け、益々社会に必要なデジタル技術へ成長します。皆さんが科学の発展を支える一員として活躍できるように、1から丁寧に指導しますので、未来の私たちのために一緒に研究しましょう。お待ちしております!