研究紹介
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2024.02.29
機械知能工学プログラム

体重が見えるメガネ「スカブター」

機械知能工学プログラム|川末 紀功仁教授

プロフィール

3Dカメラを用いた身体測定(畜産・医療)

養豚において、豚の成育状態や出荷時期を決める目安として体重は重要です。しかし、100kgを超える豚を豚衡機(豚の体重計)に誘導し、体重を測定することは大変な労力を要します。そこで、AIにより、カメラで豚を撮影するだけで,熟練者と同等の体重推定を可能にするシステムを開発しました。

図 スカブター

現場の状況を考慮した製品化への取組

動き回る豚をカメラで追いかけて,適切なアングルで撮影することは容易ではありません。そこで、カメラを頭部にとりつけ、AR(拡張現実)メガネと組み合わせることで、使用感を大幅に向上しました。頭部にカメラを固定すると自然に豚を視界に入れることができます。AR(拡張現実)は実際に人が見る風景にデジタル情報を重ねて表示する技術です。両手がふさがることもなく作業者が一人だけでも簡単に体重を測定できるので,豚舎での作業に適しています。カメラには対象までの距離が同時に得られる3Dカメラを利用しています。カメラの3D画像はコンピュータで処理され、計算された体重などの情報はARメガネに表示されます。この装置は「豚の体重が見えるメガネ(スカブター)」と呼ばれ,国内外で早期の製品化が期待されています。

図 豚の三次元解析例
「スカブター」宮崎大学の登録商標です。

医療分野への応用

豚の測定のみでなく、医学部と協力して医療分野への応用を試みています。 「スカブター」技術を用いることで、保育器の中の新生児を保育器の外から撮影するだけで、身体測定を行うことができるようになります。デリケートな新生児に触れることなく身体測定を実施できるので医療関係者から早期の技術開発が期待されています。

図 撮影風景(宮崎大学附属病院)
図 人形を用いた解析例

高校生の皆さんへ

機械知能工学は,様々分野で装置やデバイスの開発において重要な役割を果たしています。単に工学に留まらず、農学や医学など幅広い分野に応用されます。 当研究室で開発されている技術は、他に類を見ない独自の特徴を有しており、国内外で際立っています。その特徴は、革新的な技術やデザイン、先進的なアプローチなど、独創的な要素に満ちています。マスコミなどでも話題性があることから,社会的にも,その存在感は卓越しています。


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